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新入試、英語は一旦引っ込めました。 [がんばれ受験生]

今朝の新聞記事(昨日の報道)はびっくりしました。

前回、「見切り発車、強引に押切り」と書いたが、英語に関しては「一旦休止」とした。「モリカケ問題」のH文部科学大臣としては思い切った結論にしたと思った。

しかし、これは何本かある「枝」の一つを抑えたに過ぎない。本丸は「勉強しない高校生をいかに勉強させるか」AO入試の制度を使って、高校時代を部活動だけに打ち込んでアルファベットも書けないのに大学生になろうとする高校生を合理的に排除することである。

大まかに言って、高校生の1割はとってもよく勉強して難関大学に入学してゆく。次の1割は一生懸命勉強して第一志望には合格できないものの、名の通った、歴史のある私立大学や地方の国公立大学に入学してゆく。次の2割はそれなりに勉強して私立大学に入学する。ーあくまでも「だいたい」であるーそして次の2割(高校3年生の中間±1割)は、大学進学を希望する場合、推薦入試やAO入試を利用して大学を目指す。残りの4割は専門高校などを経由して就職もしくは専門学校に進学する。

今回の高大接続改革で狙っているのは、真ん中の2割の生徒から下の層だ。この層は部活動に一生懸命取り組んで、高校時代は勉強をあまりやらず(部活動をやっている生徒が勉強しないということはない)部活の成果と一夜漬けで頑張る定期考査の成績で進学を勝ち取ろうとする。

この層が進学する私立大学は、定員を埋めることが難しく「大学の経営のために学力の足りない高校生」を大量に合格させざるを得ない。

つまり、経営のために入学生を確保したい大学側と「楽をして」大学に進学したい高校生の利害が一致しているゾーンだ。

この「高校生としての学力の足りない大学生」を、学力が足りないという理由で大学へ入れなくしてしまう(それが正常な姿だと思っているが)相当数の私立大学が潰れなければならなくなる。

そこで、この層に勉強してもらって最低限度の学力をつけて進学してもらう狙いで今回の制度設計を行っている。

英語4技能だけではなく、むしろ主戦場はこちらかもしれない。

この試験は、「基礎学力試験」のような名称をつけられ、高校2年生が受験するらしい。もちろん「基礎学力」なので平易な問題を予想するが、新時代を生きる大人を育成するために「情報」のような科目も受験しなければならなくなる。

科目だけでなく、CBT( Computer Based Testing )で実施されるために確実なデータ通信と「テスト理論」に基づいた問題の設計(好成績の生徒は少しずつ難しい問題へ、低い成績の生徒はどんどん問題が平易になり解いている問題で自分の成績がある程度わかる)が要求される。

データ通信はどこが担当するか。N社という噂がある。問題作成(大量の問題が必要になる)はどうするか。B社という噂がある。成績の提供と利用は、何も決まっている様子がない。

とりあえず、英語4技能試験の民間試験の利用は一旦ストップした。しかし、問題多数の制度設計の中で、一つの問題の「先送りが決定した」というだけだ。

ほぼ何も前進していない。英語の試験が先送りされただけで喜んではいけない。安心して注目するのをやめてはいけない。

繰り返しになるが、「勉強しない中間層」を勉強させるための制度の変更は悪くない。総論部分だ。しかし。各論部分では実施までにたくさんの課題が残っている。

それでも、新しい試験制度は「最初の形から変化した」としても成立する。H大臣が矢面に立っているが、影では数百人規模の大学の先生方が一つ一つの具体的な仕組みを作る作業をしている。

今後も注目が必要だ。
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